工具について
私と整備工場を開いている友人Nは共に工具マニアで、よく工具の話をします。そして彼の話は非常に参考になります。プロの視点から見た工具の選び方、工具に触れる時間が長い彼の経験からくる工具の良い所や悪い所などなど…。
そしてその友人の話を交えて、私が考えるプロじゃない素人にとっての工具に関して述べていきたいと思います。
プロと素人は違う
工具には、スナップオンやネプロス等の高級工具から100円ショップで売っている工具まで、ピンからキリまであります。サイトで工具を検索すると、当然高級工具や有名工具を紹介しているページが見つかります。そういったページを見ると、やはり使う工具はスナップオンやネプロスを選んだ方が良いんだろうな、やっぱりプライヤーはクニペックスだバーコだとか思ってしまいます。
お金が潤沢にある人はそういった高級工具などで揃えても良いと思いますが、はっきり言って素人にはそういった工具は全く必要ないと思っています。
プロの人は毎日毎日朝から晩まで工具を使っています。そして扱う車は他人様の車です。ですから、当然工具を選ぶポイントは値段よりも耐久性や精度になります。ボルトをなめてしまったり、工具が壊れてしまうと余計な手間がかかり、効率が悪くなります。それが売り上げに直接影響してくるのです。
ですが私のような素人は、作業時間が多くても週に10〜20時間程度、
平均時間はもっと短いはずです。ましてや工具を使う時間はもっと短いでしょう。ですから工具の耐久性はそれほど問題になりません。そして扱うのは自分の車ですから、工具には一定以上の精度があれば充分です。
ですから素人にとっては、工具を選ぶ際には金額の方が重要になってくると思います。
プロに比べて遙かに使用時願が短いのですから、多少ランクが落ちる物を使っても、一生使えるかも知れません。
でもある程度は良い物を
ただ、耐久性や精度は全く考えなくても良いという訳ではありません。100円ショップで売っている工具の殆どは耐久性、精度共にかなり落ちます。自分の車を大事にしたいなら、こういった工具は使わない方が良いです。それこそ”安物買いの銭失い”となります。
ソケットレンチなどは、精度が悪いと一発でボルトをなめてしまいます。ホームセンターで売っている安物のセットはそういった物が多いのですが、ある程度高い物には充分使える物もあります。
安い工具でこれはいい、悪いと思った物
以上の考えから、私はある程度安い物を中心に工具を揃えています。
でも確かに高い工具で凄くいい物もあり、欲しいと思っている物もたくさんあります。ただこういった高くていい工具はここで色々述べる必要はないと思います。
私が今まで使った安い工具はたくさんあります。やはり安いだけあって、買って失敗したと思う事もたくさんあります。ただ、安い工具に比べて遙かに確率は低いでしょうが高い工具にも失敗はあると思います。安い工具はそういった面では安いので失敗してもあきらめがつきます。
私がそうやって試した物のうちこれはいい、これはダメだと思った物を紹介したいと思います。
私が使っている便利工具他
電工ペンチ
これは基本の工具ですが、安物との違いが大きい物なので紹介します。
私が使っているのはエビ印の電工ペンチです。最初は○ーモンの電工ペンチを使っていましたが、握りが細いので手が痛くなってしまいます。それに比べてこれは握りが太くなっており、沢山の端子をカシメても手が痛くなりません。それに金額も手頃です。
外国メーカーの電工ペンチは、端子の大きさの規格が日本と若干違っていますので、普通に売っている端子に大きさが合わない場合があるので注意が必要です。国産の方が無難でしょう。
配線通し
エンジンルームから室内に配線を通す時や、ドアから純正の配管チューブの中を通して室内に引っ張り込む時には、これがあると断然便利です。
そう高くないので、費用対効果はバッチリです。
テスター
これも基本ですが、なるべくデジタルとアナログの両方があった方が良いです。
正確な電圧や抵抗を計る時はデジタルの方が良いです。そして電圧や抵抗の変化を見る時はアナログじゃないと分かりません。
デジタルは安物でも多分それなりに正確だと思いますが、アナログの安物は当たり外れがあるので注意が必要です。
熱収縮チューブ
配線を繋いだ所にこれを被せてライターなどで炙ると収縮して密着してくれる物です。
色々な太さがあり、それぞれにまた値段の違いがありますが、エンジンルームや外装品などで使う場合は、熱すると内側に樹脂が染み出して完全防水してくれる物がお勧めです。
ケーブル・タイとマウントベース
インシュロックタイやタイラップと言われている結束バンドです。半透明の白い物と黒、そしてグレーなどがあります。白い物は耐候性が低く何年か経つと紫外線等で劣化して切れてしまう事があるので、外装に使うのは避けた方が良いでしょう。
そしてそれを留めるマウントベースという物が非常に便利です。両面テープでいろんな所に貼り付ける事が出来ます。
両面テープ用ハサミ
刃がフッ素コーティングしてあるので、両面テープなどを切る時にひっついてイライラする事がありません。
ゼムクリップ
ゼムクリップは色々な用途があります。写真はウインドウレギュレターハンドルのクリップを外すのに使うために曲げた物です。ETCのアンテナの角度を確認する時にも使いますし、色々使えますから、工具箱に数個入れておいた方が良いと思います。
内張外し
内張のクリップを外したり、はめ込みのボードなどを外す時に使います。マイナスドライバーを使っても出来ますが、これがあった方が断然早いです。
中でもベッセルのクリップ外しを一番使いますが、写真のように車に傷が入らないよう保護テープなどを巻いてます。
コンビネーションラチェット(イマイチ)
友人が持っていたKTCのラチェットメガネが非常に使い勝手が良かったのですが、あまりに高いので他のメーカーの安い物を探していてホームセンターで見つけた物です。
一応ラチェット部分はギアテックなので良いかなとは思ったのですが、結局不便なので今は全然使っていません。というのも、そもそもコンビネーションという物自体が使い勝手が悪いと思います。一本で2サイズ使える方が絶対良いに決まってます。
シグネットのラチェットメガネ
と言う訳で、シグネットがKTCと同じようなラチェットメガネを出していたので購入しました。この4本セットで8000円でした(送料別)。KTCは一番安い8-10でも一本5〜6千円します。
シグネットのラチェット部分は”ギアレンチ”を使用してます。ギアレンチもギアテックもライセンスを所有しているのは同じ人だそうです。
KTCと同じ首振りで本締めも出来て、70ギアと送りも細かく、なかなか使いやすいです。…が、KTCと比べて致命的に使いにくい所が一つ。
回転方向を書いた矢印が小さく、そして握りに近い所に刻印してあります。ぱっと見た時に回転方向を把握するのが難しいです。
それに比べてKTCは首振りの所に大きく刻印してありますし、形状が左右非対称になっているので顔を近づけなくても形を見ただけで方向が判ります。これは大きな差です。
ですが値段の差も大きいので、私はSIGNETを使用してます。お金がある人は迷わずKTCを購入する事をお勧めします。
ソケットレンチ
私が愛用しているのはスエカゲツールのソケットレンチです。小さい方が1/4の首振り、長い方が3/8です。見た通り、頭の大きさが同じです。これは1/4が大きいのではなく、3/8が凄く小さいのです。丸形の利点を最大限発揮しています。
それに加えてこれは回転が非常にスムーズで軽いです。恐らく世の中のソケットレンチハンドルの中で一番回転が軽いのではないでしょうか。軽いという事は、ハンドルを戻した時にボルトが一緒に回転してイライラする事が少ないという事です。これは良いです。
それに頭の部分は指で回せるようになっています。
ですがこれも欠点があります。
ソケット部分にもメッキが施されているので、剥げてしまいます。
それと、頭のスピンナーを指で回していると、回転切替レバーに指が必ず当たり、回転が止まってしまいます。
しかし私にとっては、この回転の軽さはその欠点を補って余りあるぐらい魅力です。
ラチェットメガネ用ドライバービットソケット
スペースがない所のネジを回す時に苦労した為、ホームセンターで購入しました。10ミリのラチェットメガネに差し込んで使います。非常に薄いのでこれは使えると思いましたが…。
ラチェットメガネ用3/8ソケット
上と同じくラチェットメガネに差し込んで使う3/8のソケットです。
いろんなメーカーから出てますが全て13ミリのメガネ用で、唯一このトップ工業の物だけが12ミリです。
プッシュリリースで、手回し用のギザギザがついています。これとラチェットメガネがあればソケットレンチは必要ありません。
…と思ったのですが…。
上の二つ、実は(今のところは)ダメ工具
上の二つの便利工具ですが、致命的な欠陥があります。この工具と言うより、それを取り付けるラチェットメガネに問題があります。
逆回転が出来ないのです。逆回転で使うには、一度取り外して、裏返して差し直すしかありません。非常に使えません。
今のところ、信頼できるメーカーからは切替が出来るラチェットメガネは発売されていません。今売られている切替付を発売しているメーカーは、信頼性がイマイチだと私は思っております。
ミニリバースギアラチェットセット
これもスエカゲツールですが、プロオートブランドになります。プロオートというブランドは個人的に何となく好きではないのですが、上の薄型ドライバービットの代わりに最適だと思い購入しました。金額は3000円程で、安すぎて逆にちょっと不安ですが、まだ使う機会がないので使い勝手は分かりません。
上の方で紹介したラチェットメガネ用ソケットよりもさらに薄いです。
本体はかなり小さいですが、48山のギアで送り角も小さく、回転切り替えもついています。指先で回すギザギザもついています。
細くて小さいですが、そんなにトルクをかける事はないと思うので、大丈夫でしょう。
ラチェットモンキー
便利そうに見えて実はダメ工具のいい見本です。
逆方向に回す時には口が広がって、早回しが出来る優れ物と書いてありましたが、非常に慎重に回さないときちんと噛みません。
口の広さをシビアにすると、一度逆に動かすともう二度と噛み込みません。口を緩くするとラチェットが機能しますが、そうするとナメてしまいます。
要するに使えません。
ロボグリップ
ウォーターポンププライヤーを買いに行ったのですが、ついこっちの方を買ってしまいました。
SK11だったので非常に抵抗がありましたが、ライセンス生産なので大丈夫だろうと思って購入。でも、もしかしたら本物より質を落として生産されているかも。本物の方を買った方が無難かも知れません。
インジェクターチェッカー
これはインジェクターが動作しているかをチェックする物です。EGIの修理や点検の時、あった方が便利です。インジェクターは3Vで動作しますから、乾電池2本を繋げば点検できます。
インジェクターのコネクターとタミヤ工作シリーズの電池ボックスとを繋げました。
電池ドリル
私は電池ドリルと呼んでますが、充電ドリルドライバーなど色々名前があります。
内装を外す時など、これがあるとたくさんのネジも非常に早く処理できます。他にも穴を開けたり、タップを切ったり、ブラシカップを付けて小さい所のサビ取りも出来ます。
これは1万円弱で買いましたが、値段以上の使い勝手があると思います。
12Vで、回転速度が無段階変速で、ボタンから指を話すとブレーキがかかる物がお勧めです。
ゴム手袋
使い捨てのゴム手袋です。手術で使っているような物です。これをマメに替えながら使っています。素手に近い間隔なので、細かい作業も違和感なくできます。
これを付けておくと手を洗う時間が少なくなり、その上爪の間が黒くなったりしないので、次の日会社の取引先の人に会っても大丈夫です。慣れると重宝します。重作業などはこれの上に軍手をしています。
写真右側のビニール手袋は安かったのですが、ほんの少し物に当たっただけで穴が開いて使い物になりませんでした。作業用にはニトリルゴム製が良いようです。
これの他にも失敗した工具がたくさんありますが、みんな捨ててしまったので写真がありません。
一番最近買ったダメ工具は、ダイソーで買ったワイヤーストリッパーです。当然100円でした。「ワイヤーストリッパーが100円なんて安すぎる。これは買わないと、自分的に負けてしまう」と訳の分からない事を考えながら買ってしまいましたが、家でパッケージを開けて握った瞬間、グリップがバキッと折れてしまいました……。